便秘外来
便秘で悩まれている方は何百万人もいると報告されていますが、適切な治療を受けている方の数はかなり少ないとされています。便秘は日常生活の質を低下させ、腸や肛門への負担を増大させ、体にもさまざまな悪影響を与えます。当院では、患者様の症状や状態を詳しくうかがって、専門医の立場から最適な治療を提供しています。お悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
こんな方には便秘外来の受診をおすすめします
- 便が硬い
- 便に血液が混じる
- お腹が張って苦しい
- 3日以上排便がないことがある
- 排便後もすっきりせず、残便感がある
- 薬を飲まないと便が出ない
- 常に薬を飲んで下痢状態にして出している
- 便秘薬の量が増えてきた
- 便秘と同時に肌も荒れてきた
- 下半身にむくみがある
便秘とは
何日おきに排便があったら便秘なのか聞かれることがあります。学術的に便秘は細かく定義されていますが、基本的には3日以上排便がない方を便秘症と呼びます。しかし、毎日の排便があってもその都度の排便量が十分でなく、残便が積み重なる状態は便秘と言えます。薬を飲まないと排便できない、すっきり出ない、便が硬く出しにくい、腹痛やお腹の張りがあるなどの症状がどれかあるようでしたら、便秘があり、治療の対象となることがあります。
便秘と思っている方の中には、大腸がんを患っている場合がありますので、検査をおすすめいたします。
便秘の原因
運動不足や、食物繊維が少ない食事、水分の摂取不足、ストレス、生活習慣、生活環境の変化などが便秘の原因になることがありますが、排便習慣ができていないことが便秘になる原因としては大きなものと考えます。
毎朝早起きをし、決まった時間に排便を習慣づけると、改善することがあります。近年では、腸内フローラ(腸内の細菌巣)と便通異常の関係が問題にされることがあります。日々の食事の中に発酵食品等、善玉菌を取り入れることをおすすめします。
便秘の種類
便秘にはいくつかのタイプがあり、それに合わせた治療を受けることで効果的な解消が望めます。
機能性便秘
現在は、腸管通過時間によって機能性便秘を以下のように分類しています。
- 結腸通過時間正常型:直腸までは問題なく、便が到達しますが、便意の低下により起こる便秘です。
- 結腸通過時間遅延型:大腸の蠕動運動が低下し、便が直腸まで到達するまでに時間がかかってしまうタイプの便秘です。
- 便排出障害型:排便機能の低下などが原因となって、いきんでもなかなか排便できないタイプの便秘です。
機能性便秘で以前用いられてきた分類も以下にご紹介します。
- 弛緩性便秘:高齢者に多い便秘です。腹圧や腸管の蠕動運動といった排便機能の低下により、便を効率的に押し出せなくなることが原因です。
- 痙攣性便秘:腸管の蠕動運動が過度に亢進して起こり、ウサギの便のようにコロコロとした兎糞状の便が出ます。ストレスが主な原因で、過敏性腸症候群のひとつです。刺激性の下剤を多量に服用した際にも痙攣性便秘が起こる場合があります。
- 直腸性便秘:便によって直腸が拡げられると脳に信号が送られ、便意が起こりますが、便意を習慣的に我慢することで発症する便秘です。直腸の排便反射が低下している状態です。浣腸を乱用したり、強力な水圧に設定したシャワートイレで直腸内に多量に注入して排便することなどにより起こる場合もあります。
続発性便秘
器質性便秘
癌による腸管の閉塞、手術後の癒着などを原因として、便が出にくくなるタイプです。手術などで原因を取り除かないと行けない場合があります。
肛門直腸疾患
長期間患った切れ痔による肛門狭窄が原因となり、肛門を便が通過する際に、強い痛みがあり、排便困難による便秘です。手術的治療により、肛門を広げ、解消することができます。
その他
パーキンソン病などの神経疾患、筋疾患にともなって起こる便秘です。糖尿病、甲状腺機能低下症などの内分泌・代謝疾患、向精神薬や降圧剤などの薬剤などが原因になっている場合もあります。
便秘外来の診察と検査
問診
排便状況を詳しくお聞きした上で、問題点や便秘のタイプ、原因などを推測します。その後、触診や検査、治療を行います。
検査
ほとんどの方が詳しい問診と腹部の聴診・触診及び腹部X線検査で、便秘の状態が把握できます。これらの検査で、必要がある方には血液検査や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うことがあります。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
大腸がんやポリープなどによって腸が詰まって便秘を起こしていないか確認します。大腸の長さについても調べることができます。
治療法
生活習慣の見直し
ご本人の食生活や生活習慣をよく聞かせていただき、状態にあった改善方法を提案します。
薬物療法
頑固な便秘の場合には、薬物治療が必要となることが多いです。薬の種類や量は、年齢や便秘の程度などによってきめ細かく調節していします。下剤には多種多様な種類があり、機械的下剤、刺激性下剤、消化管運動調整剤(自律神経に作用する薬)、漢方薬に分けられます。患者様にとって一番合う薬を見つけることが重要ですが、薬の効き具合には個人差があります。そのため毎回の診療で少しずつ量を変更したり、種類を増減しながら最適な薬とその服用量を一緒に見つけていきます。