日帰り手術とは
お仕事に子育てに介護にと多忙な毎日のせいで、しっかりとした痔の治療を受ける機会がなかなかないことにお悩みの方も少なくありません。
そのような方でも、手術を受けたその日のうちにご帰宅可能な日帰り手術です。
手術後はストレスのともなう入院をせずに慣れ親しんだご自宅で療養期間を過ごせるだけでなく、日常生活への影響も少ないく、比較的早期の社会復帰が可能になるなど、日帰り手術は長期の入院が難しいという方でも安心して受けられる治療法です。
日帰り手術を選択されるにあたって
かつては入院を必要とした痔の手術も、医療技術の発達や、麻酔方法の工夫や経験の積み重ねによって、昨今では日帰りで行われることが広く一般化してきております。ライフスタイルの多様化にともなうニーズの増加にもしっかりと応えられるようになってきました。
一方で日帰り手術は、入院を必要としない代わりに、ご自宅での療養期間をきちんとした自己管理のもとで過ごす必要のある治療法でもあります。痔の手術は、日帰りで行われるからといって、その日のうちに完治したり痛みなどが消え去るというものではないという点を、あらかじめしっかりとご理解いただいた上で手術に臨んでいただく必要があります。
こうしたご理解のもとで手術を受けることができれば、日帰りにともなう様々なメリットをご享受いただけることにもなります。そのためにも、当院ではこうした手術に関するご注意や手術後の過ごし方などを事前に詳しくご説明するようにしておりますが、もしご不安やご不明な点などあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
日帰り手術のメリット
入院の必要がなく、日常生活の延長線上で受けられるという点が日帰り手術の大きな特徴です。そして、それにより様々なメリットが発生します。
まず、手術前にお仕事の調整をしたり、入院に必要な物品を揃えるなどのわずらわしい準備をする必要がなくなります。
その上、手術を受けたその日のうちに帰宅できるので、入院にともなうストレスを感じることなく慣れ親しんだ環境で手術後の療養期間を過ごすことが可能になります。そして、こうしたことから自ずと手術前後の時間的拘束が最小限に抑えられるので、その分、早期の社会復帰を実現しやすくもなります。
さらに、医療費のうち入院に関連した部分が一切不要になることから、経済的な節約に貢献できることもまた大きなメリットといえます。
日帰り手術のデメリット
日帰り手術は入院が必要ないことによるメリットばかりが強調されがちですが、実際にはご注意いただきたいデメリットも存在します。
デメリットとしては、大きく分けて2点があげられます。
一つ目は、手術後の痛みを心配される方がいらっしゃいます。痛みに関しは、適切な処方を行います。排便後の洗浄やその後の処置を十分指導し、痛みに関しては我慢できる範囲内に治めるようにしております。
二つ目は、術後出血です。術後出血には「早期の出血」と「晩期の出血」があります。早期の出血は、手術中十分な止血・処置を行うことで、防ぐことができます。晩期の出血は、術後1週間以上してから止血をしていた糸が溶けることによって、起きる出血で、ごくごく稀に起こるものです。これに関しては、1週間程度の入院では退院後に起きる可能性が高いものです。
万が一のために手術をされた方には、医師直通の連絡先をお伝えし、いつでも連絡が取れるようにしております。
当院の日帰り手術の条件
日帰り手術は、原則として以下に挙げる条件を満たす方が対象となります。
- 診察の結果、日帰りでも手術が可能な状態にあると判断された方
- 当院の治療方針や日帰り手術の注意点にご理解・ご納得いただける方
- 手術の翌日にご来院可能で、その後も一定期間のご来院が可能な方
当院の麻酔について
当院では局所麻酔と静脈麻酔の併用にて手術を行なっております。
静脈麻酔を用いて、睡眠薬で寝ているような状態を作り、寝ている間に局所麻酔を併用し、手術を行います。したがって、患者さんは寝ている間に手術が終割ります。病状によっては、全身麻酔で行う場合もあります。
日帰り手術後の通院スケジュール
日帰り手術は入院を必要としない代わりに、手術後の一定期間を外来による経過観察期間にあてる必要があります。
具体的には、手術による創(きず)の状態を確認・消毒するために、まずは手術の翌日にご来院いただきます。また、その1週間後にも再びご来院いただきます。そしてそれ以降は、創が治るまで定期的に、通院していただきます。
当院の日帰り手術の流れ
手術前から手術後までの流れを、項目ごとの注意点とともに列挙します。
1予約時
手術日程を決めると同時に、ご本人の健康状態のチェックのために、胸部X線検査、心電図検査、採血検査を行なっていただきます。
2前日
食事:食べるものに制限はありませんが、21時頃までに食事を済ませてください。
服薬:持病で飲まれているお薬は、事前の指示がない薬は飲んでいただいて構いません。ただし、血液をサラサラにするお薬等は、事前に調整が必要なため、別途ご相談ください。
3当日(手術前)
食事:朝食は食べないでください。また、飲水もしないでください。
服薬:普段服用している薬は飲まずに、持参してください。術後に飲みます。
来院:ご自身の運転による乗り物(自転車・バイク・自動車等)でのご来院は避けてください。
4当日(手術後)
食事:アルコールや刺激物は控えてください。
排便:便意があったら排便してかまいません。ただし、無理に出そうと力むのは避けてください。また、排便前に手術の創にあててあるガーゼをはがし、排便後に新しいガーゼと交換するとともに、はがしたガーゼをトイレに流さないようご注意ください。排便後は、温かいシャワーでお尻をよく洗ってください。
入浴:シャワー浴びてかまいません。当日は湯船につからないでください。
服薬:手術後に処方された薬と普段服用している薬を服用してください。
帰宅時:ご家族などに送迎していただくか、タクシーでお帰りください。ご自身での自動車の運転や電車・バスでのお帰りは避けてください。
5翌日
来院:手術の創の状態を確認・消毒するためにご来院ください。
食事:刺激物を除いて、普段通りに食べてかまいません。アルコールは創が落ち着くまで控えてください。
排便:排便後はなるべく温かいシャワーで洗うようにしてください。綺麗に洗った後、処方された軟膏を塗布後に新しいガーゼをあててください。
入浴:診察後問題がなければ、入浴可能です。
服薬:手術後に処方された薬と普段服用している薬を服用してください。
生活:痛みや出血の程度が軽い方は、医師の許可のもとお仕事に復帰してもかまいません。
62日目以降
来院:手術の創の状態を確認・消毒するため、1週間後にご来院ください。また、それ以前に何らかの問題が発生した場合にも、その都度ご来院ください。以後の来院は、診察時の状態によって、1週間から2週間おきに、通院していただきます。
食事:普段通りに食べてかまいません。
排便:排便後はなるべくシャワーできれいにして、手術後に処方された軟膏を塗布後に新しいガーゼをあててください。
入浴:特に制限はありません。
服薬:手術後に処方された薬と普段服用している薬を服用してください。
生活:引き続き座ったままの姿勢などに注意するとともに、医師の許可が出るまでは運動も避けてください。痛みや出血が落ち着いてくると無理をしがちになりますが、しばらくの間はできるだけ安静にお過ごしください。