肛門とは
肛門の構造について
- 歯状線:直腸(粘膜)の肛門(皮膚)の境目です。
- 肛門陰窩:歯状線のところにあるくぼみです。
- 括約筋:肛門を閉じる働きをする筋肉です。内括約筋と外括約筋がある。
- 肛門のクッション:網目状に広がった血管があり、弾力性に富んだ部位です。
肛門の機能
肛門は消化管の終点となる器官で、排便に関する機能をコントロールしています。
口から摂り入れられた食べ物は胃と小腸で消化・吸収され、残った不要物が大腸で便となって肛門に届けられます。肛門はその便が無意識に漏れ出ないよう出口を締めながら貯留し、やがて便意をもよおした際に出口をゆるめて体外へと送り出します。肛門はこうした一連の働きを機能させるためにとても複雑かつ繊細な構造をしており、それにより便とガス(おなら)を区別したり、便の硬さや太さを感じ取ったりもしながら、周りを囲む括約筋によって状況に応じた収縮と弛緩を繰り返しています。
しかし、こうした肛門の構造や働きのどこかに何らかの異常が生じると、肛門やその周辺にさまざまな病気が発生することがあります。中でも代表的な病気が、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(穴痔)で、この3つは三大肛門疾患とも呼ばれています。
当院肛門科の診察について
肛門科を訪れようとする際、最初にためらいの原因となるのが、おそらく恥ずかしさではないでしょうか。特に、どのような姿勢や恰好で診察を受けることになるのかという不安がその大部分を占めるのではないかと思われます。
当院では診察の際、横向きに寝そべって軽く両膝を曲げるだけの姿勢をとっていただいております。この姿勢は患者様の恥ずかしさ軽減やリラックスのしやすさなどに優れているとして、肛門科の診察では広く採り入れられているもので、Abelの体位といいます。この体位ならズボンや下着を膝上程度まで下げるだけで問題なく診察可能ですので、特に脱衣の必要もありません。
さらに、肛門科を受診する目的でいらっしゃったことがわからないようにするために、口頭で伝えていただかなくとも受付が完了するような仕組みをご用意するなど、随所でプライバシーへの配慮に努めておりますので、どうぞ安心してご来院ください。
当院肛門科の診察の流れ
1問診
受付時にご記入いただいた問診票の内容を参考にしながら、現在の自覚症状などをより詳細にお伺いします。
2肛門の診察準備
診察室を閉め切るとともにカーテンで遮るなどしてプライバシーに配慮しながら、診察台にて肛門を診察するための姿勢をとっていただきます。
3肛門の診察
肛門の外側を観察する視診、ゴム手袋をした指を挿入して肛門の内部の感触をチェックする触診、細い筒状の肛門鏡を挿入して内部を観察する肛門鏡検査などを行います。指や肛門鏡の挿入時には医療用の潤滑ゼリーを用いるので、痛みを極力感じないよう配慮しております。
4診断・説明
ここまでの診察や検査の結果を踏まえて医師が診断を下し、今後の治療方針をご説明します。
※診断が確定しきれなかった場合には、さらに他の検査が必要になることもあります。